柔軟な脳とは

 私たちが何気なく話している「言葉」。その言葉は生まれた瞬間から話せたわけではありません。では、どうやって覚えたのでしょうか?それは家族からの温かい抱擁と優しい語りかけが何万回と繰り返される中で獲得されていきます。言葉のように、知能も育てられた環境(外部からの刺激)によって大きく変わってきます。

神経細胞の基本型

 

 脳細胞から出ている神経繊維は、長く伸びて、その先が枝分かれし、他の神経繊維と接続しています。つまり「配線されている」ということです。

 この配線がより多く、より強力に結びついていると、頭の中に大容量の思考回路が形成されます。そして、たくさんの回路ができていれば、多くの引き出しから必要なものを探し出すことができ、良い考えを生み出すことができます。

 まさに柔軟な考え方ができる脳になるわけです。

知能の発達段階

 神経繊維の配線は、次のような段階を経て発達し、後はゆっくり伸びて20歳前後に完了します。

脳の発達

第1期(生まれて~3歳頃)

 「まねる」働きの配線がなされます。模倣期といって、人間らしい人間になる配線が整います。人を思いやる心や感受性の豊かさといったものは、この時期にこそ育ちます。

第2期(4・5歳頃~7歳頃)

 「自分で考え、自分を主張し、自主的に行動する。つまり、やる気を起こす」という働きの神経細胞が配線されていきます。この時期はどんなものにも興味を持ちだし、やろうとします。親が手を出すと、「自分でする」と言います。つまり、自分のことは自分でやりたいのです。親はやる気をますます起こさせるような環境を作ることが大切です。無理にわからせたり、教え込んだり、覚えさせたりするような知識の詰め込みは逆に知能の働きを停止させます。

≪ point!≫

第2期は、知能の発達のうえでとても重要です。知能とは将来、知識を蓄える器のようなもので、器ができないうちに詰め込んでも何もなりません。器を小さく固めてしまうのではなく、できるだけ大きな器にするのが知能教育です。

第3期(8歳頃~10歳頃)

 第2期までにできた配線を、さらに連合させていく時期です。

知能教育のポイント

 上記の発達段階に合った刺激を与えてあげることで脳の使用領域が広がり、知能が高くなります。

知能を高めるポイントは、

①自分の頭で考えさせる。

②子どもの興味、意欲を引き出す。

③「できる」「できない」ではなく、子どもの取り組み方を重視する。

 知能の器をつくる幼児期に、多くの刺激を受け、知能の回路を多くをつなげていくことによって、柔らかく多角的な考え方をする力をつけていくことができます。